Way to happiness
*2*
「さて…今日も頑張りますかっ」

独り言も多くなったなぁ…なんて思いながら
紗都はまだ社員が一人もいないフロアを
横切り、給湯室へ

社員が来る前に給湯室のポットやコーヒーサーバーの
準備を始める。

シンクに洗ってないマグカップが1つ…

このカップは…間宮君だな
昨日は残業だったんだ
今日は濃いめのブラックでも入れてあげよっかな…

なんて思いながら間宮君のマグカップを洗い、
社員のマグカップ置場に置く

「おはようございま~す!」
「お~っす」
「おはようさん♪」

続々と社員が出勤してくる。

「おはようございます。」

紗都は次々に出勤する社員に、コーヒーやお茶、紅茶と
配っていく

間宮君のデスクにコーヒーの入ったカップを置くと

「今日は濃いめブラックだから気をつけてね。
これはおまけ♪」

紗都はポケットから小さなチョコを取り出し、
デスクの端に置く

「お~きた!紗都さんの残業セット♪癒される~!」
「ちょっと、なんか私が残業させてるみたいじゃん!」
「いやいや、紗都さんの残業セットのおかげで
今日も仕事頑張れますから!ありがとうございます!」
「いやいや、残業しないで定時で帰れる努力をしようよ…」

「って、昨日はしかたないんですよ~
急に新規の大きい契約入って…あ!!!
今日から一週間、会議室占領します!
昨日の契約先の打ち合わせが九時半…
おわ~~~っ!もう来る!!」

ばたばたと会議室に走っていく間宮君
時計を見ると、9時を回っていた

朝から疲れる…

ため息をつきながら、給湯室に戻り、来客用のお茶を
用意し始める

受付カウンターの方から慌てふためいた声がする

「え?え?こんなに?ちょっと待ってください
紗都さ~~~ん!!」

紗都が給湯室から顔を出すと、そこには
たくさんの段ボールと苦笑いの配達職員と泣きそうな顔の由宇


「はいはい…」
カウンターにある伝票を手に取ると
発送元は知らない会社

発送先はうちの会社の名前がちゃんと書いてある
会社名の下に「(会議室)」とあることから
さっき、間宮君が言っていた新規契約相手…

「由宇ちゃん。うちの台車、あるだけ持ってきて。
私が確認して受け取るから。」

カウンターから一番近いデスクにいた営業課長の佐伯さんに
伝票を見せる。

「すいません。間宮君の担当先の会社名で間違いありませんか?」
「え?間宮?・・・あ~そうだね。ラグレス。まちがいないよ。」

佐伯さんから伝票を受取り、一礼すると
カウンターにもどり、受取印を押すと、

「お待たせいたしました。すいませんが、会議室に置いてください。」

台車を持ってきた由宇と段ボールを積み上げ、
会議室に配達職員を案内する。

会議室をあけると、まだバタバタと準備している間宮君

「間宮君?ラグレスから大量のプレゼントが届いてるけど?」
「え?え?何これ?…資料って…こんなに?
えっと!とりあえずミーティングルームに!いや、俺も
運びます!」


………

…ミーティングロームいっぱいの段ボール
…苦笑いの配達職員とクタクタの間宮・由宇・紗都

「ありがとう…ございました…」

配達職員の背中を見つめながら

彼も今日は筋肉痛かな…

なんて呟いてると、入れ違いに
スーツの男が入ってくる

名刺入れを取り出しながら
「初めまして。株式会社ラグレスの神野と申します。
九時半からお約束しておりますが、間宮さんをお願いします。」

紗都は名刺を受取りながら

「お話は伺っております。
そちらにお掛けになって少々「お~~!久しぶりだな!神野!」

振り返ると、満面の笑みを浮かべた所長が両手を拡げて向かってくる。

「ご無沙汰しております。平さん。」と一礼する神野さん

「今回はお手柔らかにな(笑)」

なんだ…所長の知り合いか…

二人を横目に間宮君を呼びに行く


バタバタ間宮君は冷や汗かきながら、所長、神野さんと
会議室に消えていく

来客のお茶出しは由宇ちゃんの役目

私は用済みなので、今日初、やっと自分のデスクに座り、
通常業務につく


うん、朝から疲れる…
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