アレ
第1章

真っ赤

これはなに・・・?ここは・・・
「・・・え?」
ガタ・・ガタ・・
「っ!?」
―何これ、動けないっ!!!なんで・・・!!
さっきまで家で眠っていたはずなのに両手両足キツく椅子に縛り付けられている。縛り付けられている紐は思ったより頑丈で手首が紫に変色している。
「だ、だれか助けて!!!ねえ誰かいないの?ねえ!!!」
部屋はやけに静かだ。物音一つしない。薄暗くて辺りがよく見えない。
「だ、れか・・・お願・・い、助けて。」
さらに静かになったような気さえする。
「や、だ。何で誰も来てくれないの?誰かいないの?」
そうだった、ここは家だ。
「お、お母さん。」
できるだけ聞こえるように叫んだ。けど、気配がない?
「なんで・・・だって、ここ家・・でしょ?家。・・・家?」
ドックン・・・!!!!!
「!?」
心臓が嫌に大きく跳ねた。
ここ・・・どこ?
目を良く凝らして見れば部屋にはくものすが多くあって私自身も着替えさせられている。汚れが一つもない真っ白なワンピース。足は裸足でてに持っていたはずのスマホもない。
「誰か助けてーーーー!!!!」
コツ・・・
「!!」
おそらく前方から音がした。良かった、助けが来てくれた。
コツ、コ・・・ツ、コツ・・コ・・ツコツ・・・
「?」
最初はほっとしていたが近づいて来るナニカの足音は不自然で。不自然すぎて焦る。まるで、今初めて歩くことができた子供のような・・それか重い荷物をもって歩いているような・・・それとも・・・
ナニカの姿が見えてきた。・・・小さい。子供?
「誰・・・?」
おそるおそる聞く私の声にピクッと反応をするナニカ。ナニカは歩くことを止めた。ナニカは今、私とは少し離れた場所にいる。でも、姿がハッキリと見える。ナニカはまだ幼い少女だ。俯いているから顔は良く分からない。少女はかなり痩せていて服が余っている。少女も私と同じで、真っ白いワンピースだけどところどころ汚れている。少女は今だに動かない。両手を後ろにしたまま。
「ねえ、君・・誰?」
私は少女の顔を除きこむような体制で聞いた。
「ねえ・?」
もう一度聞いたら何を思ったのか少女は突然顔を上げた。
「!!!!!!!???」
少女は満面の笑みで笑っていた。顔は青白く瞳は真っ黒だ。
「アハ・・・ハ・・・」
少女は楽しそうに近づいて来る。遊ぶオモチャを見つけたみたいに。
「アハハ・・・ハ」
ゆっくり、そして確実に近づいて来る。少女が両手を前に出した。
「嫌ッ!!!!こ、来ないで・・・」
反抗するともっと嬉しそうに声を上げて近づいて来る。両手にしっかりと鎌を持って。鎌には、既に血が付いている。
「お姉ちゃん、遊ぼ・・・う」
まだ舌足らずで何を言っているか分からないはずなのにはっきりと聞こえる。
「やめ、て。来ないで。」
「キャハハッ♪あそ・・・ぼ」
鎌を見てニヤニヤしている。
(殺される・・・!!!!)
鎌に付いているその血は何!?誰の血なの・・・動物?それとも・・・
「いやっ!!来ないでって言っているでしょ!?聞こえないの!?アンタが私を椅子に縛り付けたの?外せよっ!!!ねえっ・・お前誰だよ!」
少女は聞こえてないのか甲高い笑い声を上げ鎌を向けて来る。
「いやあああああああっ!!!」
私は気が狂ったかのように声を出した。もう少女は目の前だ。
「あっ・・・」
恐怖で声が震える。
「や・・めて・・い・・や・・」
「キャハハハハハハハッ」
―ザクッ
「っーーーー―!!!いアアアアアアアアア!!!」
右腕に思いっきり刃が食い込んだ。食い込んだところから血が滲み出てくる。刃を抜きたいけど縛り付けられているからガタガタ暴れる事しかできない。
「イヒイイ・・アハッ・ウウ・・アウ・・」
苦しんでいる私が気に入ったのか少女は力を込め食い込んでいる刃を思いっきり横に動かした。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
肉が引き裂かれる!!必死にもがいてもがいて抵抗する。でも、少女は動かすのを止めない。止めると言うよりさらに大きく動かした。
ーーグチュ・・グ・・・チュグチュグチュグ・・チュ・・・
「っ!?!????!!?」
あまりの痛みに可笑しくなってきた。遊ばれている私の右腕は、もう原形すら分からない。至るところから血が滲み、そして吹き出し床に垂れている。出血が多い。コレハナニナンダロウ。脂肪・・・だろうか、肉・・か?血とナニカがぐちゃぐちゃに混ざりあっている。
「・・・」
視界が滲んで来る。涙なのかな・・・。
「キャハハイヒイイ!!!」
少女はえぐる。えぐるえぐるえぐるえぐるえぐり続ける。
ーーグチュ・・グチャグチョグチョグチョグチャグチョグチョ・・
「うっ・」
間近で聞こえてくる鳴り止まぬその音に恐怖を覚える。聞いたことのない音。不快感が連続する。
(もう・・・ダメだ。死ぬのかな・・)
腕には力が入らなくなりダランと垂れ下がっている。それなのにまだ楽しそうにえぐり続ける少女。神経を切られたのだろうか。感覚が無くなっている。でも、全身が震え出す。暑いような寒いような・・・そんな感じがする。何がこんなに楽しいんだろう、理解できないな・・・。
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