君に届けた春風
信頼

翌朝。奈津は部屋のカーテンを開ける。

澄んだ空。鳥の鳴き声があり朝日がまどから差し込んでいる。

奈津は大きく深呼吸し、学校に行く支度をした

いつものように電車に乗り学校へ行く

教室で奈津はカバンからノートや教科書をまとめ机の中にしまう

いつもの明るさであかねが奈津の前に来た

あかねは前の席。椅子に座り廊下の方を向いて奈津に話しかける

いつもの日常だが、ただ違うのは。

奈津は高屋と恋人になった事。

奈津にとって初めてできた恋人だ

高屋と長谷部も教室に入ってきた。

相変わらず、女子から騒がれている。

高屋と長谷部は他の男子達と話している。

奈津は高屋の様子を見ていると高屋も奈津を見つけ口パクで「おはよう」と言った。

奈津も同じく口パクした

まるで2人の以心伝心のようで奈津は嬉しかった

その様子を見てしまった加賀澤恵里奈。

奈津は気付かないが恵里奈は奈津を睨んでいた

恵里奈は奈津と高屋の仲を憎しみだした



ある授業が終わり、あかねはトイレに席を外す

奈津が1人で席にいると、恵里奈達3人が奈津の席に来た

恵里奈「水月さん。今日花壇の水やり代わってくれない?私、親からどうしても外せない用事があって。」

奈津「あ。いいよ。」

恵里奈「本当⁉︎ありがとう。記録ノートは私が書いておくから」奈津の手を握り自分の席に戻る

あかねが戻ってくる

あかね「奈津。今日長谷部達とカラオケ行こうよ?」

奈津「あ。ゴメン。加賀澤さんに花壇の水やり代わってって頼まれて引き受けちゃった」

あかね「えー!あのお嬢様の頼み引き受けちゃったの⁉︎そんなの断ればいいのに」口を尖らせた

奈津「まぁ。困った時はお互い様だし」苦笑いをする

あかね「もう。奈津はあまいな〜」

奈津「記録ノートは自分で書くって言ってたし」

あかね「たく!仕方ない。また今度にするか」
諦めて前に向き直す


放課後。皆が下校していく中。
奈津は恵里奈に頼まれた通り花壇の水やりをし記録ノートも流れで記入していた。

翌日。担任が朝の会で教室に入る

「えー。昨日の花壇の水やり係は誰だ〜?」

担任教師は生徒全体を見渡し、奈津が手を挙げようとした瞬間。

恵里奈が真っ先に手を挙げた

担任「加賀澤かぁ。記録ノートの記入がなかったぞ」と花壇記録ノートを見せる

恵里奈は席から立ち上がり
「先生。ゴメンなさい。でも、昨日はどうしても外せない用事があって。慌てて帰っちゃったので。水やりはしたんです。すいません。以後気をつけます」頭を下げた。

あかね「昨日水やりしたの奈津じゃないの?」
ヒソヒソ声で奈津に言った。

休み時間。

男子達がザワザワした

恵里奈「皆〜!ゴメンね。私…昨日どうしても外せない用事があって、他の人に頼んだの」

男子「えー!誰だよ?」「加賀澤。もしかして、そいつをかばったの?」

恵里奈が静かに頷いた

男子「誰だよ?」

恵里奈はゆっくり腕を上げ、奈津を指差した

皆が奈津を見る

男子A「水月〜!お前ひどくねぇ?」

男子B「そうだよ〜加賀澤に頼まれたなら最後までちゃんとやれよー!」

男子A「加賀澤は水月をかばったんだぞ!」

男子B「水月〜!加賀澤に謝れよ!」

「そうだ!そうだ!」他の男子達も声を揃えて言った。

奈津は恵里奈の発言が信じられなかった。

男子A「水月〜!加賀澤はお嬢様だぞ!土下座しろ!」1人が土下座と言った事に他の男子達も声を揃えて言いだした。

「どーげーざ!どーげーざ!」手でリズムをとるように奈津に迫る

奈津は恐る恐る立ち上がろうとした。

すると。高屋が机を強く叩き立ち上がる

高屋「お前ら、うるっせー!!」

今までの声が嘘のように静まった。

高屋は恵里奈を睨みつけるように見た。

高屋「記録ノート。水月は書いてたよ!ちゃんと、頼まれた事やったんだよ!俺、見たし」

男子A「じゃあ、昨日の記録はどこ行ったんだ?」再びザワザワし出した。

長谷部「あれ〜?こんなとこにこんなものが」
恵里奈のカバンのポケットからこっそり抜き取った1枚の紙を皆の前で広げた。

恵里奈は慌てて手を出すが長谷部は取られないように手を動かす。

男子達「なんだ。驚かせんなよ〜」

あかね「ちょっと、皆!疑った奈津に謝りなさいよ!」席から勢いよく立ち上がり言った

男子達が奈津に向けそれぞれ「悪かったよ〜」
と言い出す。

奈津は助けてくれた3人に感謝の気持ちでいっぱいだった。

高屋と長谷部とあかねは3人で目を合わせて笑い合った

恵里奈は、この解決状況に面白くなく悔しがっていた。

昼休み。裏庭で奈津はあかねと長谷部そして高屋との4人で話していた

奈津「皆、ありがとう。さっきはどうなるかと思った。」

あかね「な〜んか、おかしいと思ったんだよね〜。あのお嬢様。やけに優しいから。」

高屋「な?本当の友達っていいだろ〜?」
奈津の顔を覗き込み微笑んだ

奈津「うん」安心した笑顔で言った。

高屋が視線を感じふと長谷部とあかねに顔をむけると、2人がニヤニヤして見ていた。

高屋「何だよ。」

あかね「だって。なんか2人が…」

長谷部「お前ら。なんか。すっげぇ仲良い感じなんだけど…」

高屋「普通だよ!普通!」顔を赤らめて言った

長谷部とあかねは疑いながらも、高屋をひやかしていた。

奈津はそんな状況に幸せを感じて笑っていた










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