海月物語。

~病院

 ある病院の個室。ベッドの上に女が眠っている。
「あ、おきた?」
水族館で倒れた来海の手を海斗は握っていた。
「あれ‥私‥‥‥。」
来海は、辺りを見渡す。
「病院だよ。ここ。」
海斗は優しく言った。
「びょ、病院?」
来海は、ベッドを飛び降り、急いで帰ろうとした。
「なにやってるの!」
海斗は、来海の腕を掴む。
「私、お金ないんです。保険証も‥‥。だから病院はちょっと‥‥‥。」
来海は海斗の腕を振り払おうとした。
「大丈夫。お金なら貸してあげるから。ベッドに戻って安静にしないと、また倒れるぞ。」
振り払おうとする来海の腕を強く掴んだ。
「で‥でも‥‥‥‥。」
«ガラガラガラ!!»
看護士が来た。
「あれ。まだ安静にしてなきゃダメですよ。ベッドに戻って。」
来海はしぶしぶベッドに戻った。
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