Love game



相当怒りが露になっていたのか、賢は若干後退りし、引きつった表情で尋ねた。


なるべく俺の逆鱗に触れないように、柔らかな口調で。




「ど、どした奈津くん?」




─「アンタみたいな男、
見ただけで気分悪くなる」─




…俺も一応人間なわけですし。


ゴキブリかなんかと同じ扱いされたら。




「…っざけんじゃねぇ!!」




ってことになっちゃうわけで。




「だぁーっ奈津!! 何があったか知らねぇけど、とりあえず落ち着け! な?」




今にも暴れ出しそうな俺を必死に宥める。




「なんなんだよあの女ぁ!!」


「って、誰だ? あ、水谷か!」


「今その名を出すなーっ!!」


「ちょ、八つ当たりすんなよ!」




壊れかけた俺は、賢によってひとまず落ち着いた。


そして今あった出来事を全て話した。




「あー…まぁ、あれだ。そこまで男嫌いだとは驚きだったな」


「あんな気ィ強いとは思わなかったし! ムカつくー!! こーなったら賢!」


「は、はいっ」




なぜか敬語で返事をする賢に、早口でまくし立てる。



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