私の彼、後ろの彼。


ここで少し、我々守護霊について教えておくとしよう。

我々守護霊は元々、人間だった。

私は何事もなく過ごしていたが、14歳の頃に脳腫瘍が発見された。

2年間、必死で治療をしたが治ることなく天に上った。

ちょうど今の璃子と同じような年、16歳のときだった。

天に上るのは簡単だった。

体が離れて自然と宙に浮く。

そしてそのまま雲よりも高く上った。

天に上ると、白い服を着た綺麗な女性が私を迎えてくれた。

「あなたは人間界から引き離されました」

女性の声は透き通り、心地よくとても美しかった。

我々は彼女のことを女神と呼んでいた。

女神はこう続ける。

「今からあなたにはあのトンネルを通ってもらいます」

そう言うと女神は右手を斜め後ろに向け、白い大きなトンネルを指差した。

「あのトンネルに入るとどうなるんですか?」

まだまだ子どもだった私は自分が置かれている状況をよく理解できていなかった。

今なら分かる。

あのトンネルが天国への入り口だったということを。

< 12 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop