意地悪上司に求愛されています。(原題 レア系女史の恋愛図鑑)
 片瀬さんに振られ、木島はかなり傷心だったのだろう。
 自暴自棄とまではいかないが、早く一人になりたい様子だった。

 だが、あまりに背中が寂しそうで放っておけなかった。
 それに、どこかで罪悪感を感じたのかもしれない。

 強引に片瀬さんと藤沢課長の仲を引き裂こうとする木島を阻止した私たちだが、木島にしてみたら邪魔な存在だったことは確かだろう。

 それなのに私にチケットを渡した木島。もうどうでもいいという気持ちの表れのように感じた。
 彼はチケットを私に渡しながら「誰かを誘って行ってくれ」と言った。だが、私はそれを断った。

 木島が手にしていたスマホを奪いとり、「水没させるわよ」と半ば脅して無理矢理連行したのだった。
 それは、木島の気持ちが痛いほど伝わってきたからなのだが……

 



 
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