沈黙の境界線


「もうどこにもいかないで?

私から離れて行かないで?」


泣きながらすがる私に


恭吾は何度も「ごめん。」と呟く。


そして


「ラテ、もう君とは会えない。

だけど約束して?

離れてもその心にずっと、俺を居させて?

見捨てないで?」




「恭吾は・・・・勝手すぎるよ。

離れないで?

どこにも行かないで?

だって私は・・・」



思わず、秘めていた胸の内を言葉にしようとした瞬間


体を離した彼が切なそうに首を横に振る。





「陽が明けたら・・・

母さんの誕生なんだ。



そこで俺は最高のプレゼントを贈るつもりだ。」


無機質に冷たい瞳。

胸騒ぎをざわざわと感じながら

言葉を失い

恭吾を見つめた。




彼が何をしようとしているかは分からない。


けれど

これから起こることがよくないことだということだけはハッキリと


その瞳を探って感じた。





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