沈黙の境界線



どこを見ているのか分からない虚ろな瞳が


私などいないかのように


彼の視線はゆっくり逸れて

家の扉へ向けられる。




「待って・・・」


動けないまま振り絞った声は


もう彼には届かない。




彼がな何も言わずに家に入って数秒後


女性の奇声ともいえる悲鳴が家の中から叫び響いて



私は



携帯を耳にあてていた。










裏切らないと誓った。

見捨てないと約束した。












私は彼を裏切った。




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