沈黙の境界線
その後連日のように放送された報道の恭吾の関係者の短く語る恭吾の人柄で
ようやく私は彼の生きてきた人生を知った気がした。
幼い頃何度か保護施設で保護されていたこと。
それでも続いた虐待。
中学生の頃、担任に虐待の相談を投げ掛けても相手にされなかったこと。
友人に相談していたこと。
たくさんたくさん
助けを求めて伸ばした手は幾度となく
振り払われて
彼は
独りになった。
彼の助けを求める声に耳を傾ける人間などどこにもいなかった。
どれほど苦しかっただろう・・・
どれほど悲しかっただろう・・・
恭吾の悲しみを
私は一匙でも理解していただろうか?
抱き締めてあげていただろうか・・・
「真面目な生徒だっただけにショックで言葉もありません。」
彼のことを何も知ろうとしなかった奴等の適当な言葉で彼の印象など決めてほしくなかった。
それが
悔しかった。