恋した人は、漫画の住人
「なぁ・・・」

「何ですか?」

「やっぱ無理だわ。」

 多分ポッキーのことだと思う。

「ポッキーですか?」

「それ以外に何があんだよ。」

「無いですね。」

「分かってんじゃねーか。」

「取り合えず。ご飯出来ましたから。」

 晋也との会話が面倒くさくなり。私はさっさと晋也に黙ってもらおうと夕食を差し出した。

「・・・」

 晋也は黙って食べてくれた。残さなかったということはそれなりに気に入ったのであろう。また、頬が緩んだ。

「お風呂・・・は無理ですね。」

「怪我してるからな。」

「それもありますが・・・」

「何だ。」

「着替えがありませんよ。」

「・・・確かにな。」

「じゃ、さっさと寝ちゃってください。」

「お前、何か積極的だな。」

「何でそう思うんですか?」

「普通に思うと思うがな。初対面の人間にそこまで命令できるとは。」

「まぁ、貴方にとっては初対面でも、私にとっては初対面ではないんですがね。」

「・・・漫画か。」

「はい。」

 私は、晋也と会話をしながら布団をベットの横に敷いた。

「私はこっちで寝るので、大松さんはベットで寝てください。」

「俺は布団がいい。」

「大松さんの時代は皆布団ですもんね。」
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