トイレには…


書初めの練習が終わり、片付けの終わった人から帰宅していった。


毎度のことながら、千尋と百合が最後まで書いていて、残っていたのは二人と選手唯一の男子である啓人、それに教師の谷の四人だけだった。


千尋がこの日最後の一枚を書き終えると、百合は片付けを始め、啓人はほぼ終わっていた。


時計を見るとすでに5時10分前になっており、まずいと焦りながら片づけを始める。


筆を拭くのだけは丁寧に行い、あとはさっさと… と思っていると、ふいに硯が視界から消えた。


思わず筆を拭く手を止めて顔を上げると、片付けの終わった啓人が余った墨の後始末をしてくれていた。


「見てないで、さっさと片づける!遅いと置いてくぞ!」


啓人の言葉に、より一層まずいという気持ちがわき、片付けのスピードが上がった。


それから5分程たち、すべての道具を手提げに仕舞う。これで片づけは完了だった。
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