My Fair Farewell
知人もいない土地へ来て、友達には滅多に会えなくて。
慣れない仕事を楽しむ余裕はまだなくて、これといった趣味もない裕の中で、
わたしの存在は大きくなっていったんだと思う。
けれどわたしは違った。
わたしは今まで通り。
友達付き合いが大切で、アルバイトと学生団体の活動と、
新しく入ったゼミの演習の準備で忙しい。
距離の遠い裕の優先順位はどんどん下がっていって、
次第に、彼を好きだと思う気持ちは薄れていった。