過保護な彼に愛されすぎてます。


ちいさい頃からの幼なじみである不破郁巳は、とてもモテる。

モテるって言われて想像するモテ具合の、倍とかそれ以上にモテる。

眉目秀麗っていうのは、彼のためにある言葉なんじゃないか。
本気でそう思えてしまうくらいに整っている顔立ちをしている郁巳くんは、現在、大学四年生でモデルをしている。

街中を歩いていたところをスカウトされて、もとより明るい郁巳くんが〝なんか面白そうだし、性に合いそう〟という軽いノリで始めたモデルの仕事。

それは、見る見るうちに波に乗り、今やCMにまで起用されているのだからすごい。

根っから明るい郁巳くんの雰囲気や爽やかさは、年代問わず女性に大人気だと、この間雑誌に特集されていたし、まぁ、わからなくはない話だ。

そんな、誰よりもカッコいい幼なじみが。
小さなころからよく知るハズの、同い年の幼なじみが……最近少し怖いと言ったらおかしいのだろうか。

郁巳くんは、今もこんなにもキラキラしているっていうのに。


「奈央ちゃん。今日俺、昼過ぎから仕事なんだけど、十九時には帰れるから夕飯は俺が作るね」

三十分前、「奈央ちゃん、起きてー! 一緒に朝ごはん食べよー」と朝六時半からインターホンを連打して私を叩き起こした郁巳くんが、トーストを頬張りながら言う。

対面式キッチンの前には、ふたり座れる程度のカウンターテーブルが備え付けてあって、そこに並んでの朝食。

メニューは、トーストにハムエッグっていう、定番。
ちなみに、ハムエッグは『トーストだけでいい』と言った私に『ダメ。それじゃあ身体に悪いよ』と郁巳くんが作ってくれたものだ。

郁巳くんは、モデルだけあって栄養栄養と結構うるさい。
食べられればべつになんでもいいって私からすれば、助かるものの正直うっとうしい。


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