全てが終わりを告げる時

異国の使者

「───輝祈っ、これあげる!!」


そう言って差し出されたのは、80cmほどの藤色のリボン


細かく織り込まれたその生地を見つめて、私は首を傾げる



「どうしたの? これ」


「昨日の放課後、最近できた手芸屋さんに行ったら見つけたの!

輝祈に似合うと思って買っちゃった♪」


そんな未來は珍しく、髪飾りを付けていた


サイドダウンにした髪に、私の物と同じ生地の、早苗色のリボンが結ばれている



リボンを受け取ると、「おそろいだよっ!」と未來が笑う


たった一言


けれど、その言葉が嬉しくて



「っありがとう……大事にする」


リボンを両手で包み込みながら、私は笑顔でそう言った



リボンをブレザーのポケットにしまい、暫く他愛もない会話を未來と交わしていれば、HR開始のチャイムが鳴った


「じゃあ、また後でね」


手を振る未來に、私も手を振り返す



未來が自分の席に着いたとほぼ同時に、教室の前扉がガラッと開き、担任教師が入ってきた



「きりーつ、礼〜」


気だるげな日直の号令に、全員が声を揃えて挨拶をする


そして全員が再び、席に着いたことを確認すると、担任教師は何故か、深い溜め息を吐いた



「せんせーどしたの? 更年期??」


「違う! 俺はまだ更年期なんかではない!」


ふざけて言った男子生徒の言葉を、担任教師は本気で否定した
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