全てが終わりを告げる時
「私っ、伊勢崎未來!


未來っていう字は〝未来〟の旧字を使っている
んだよ!!


旧字なのは、お父さんとお母さんが〝人と人との繋がりを大切にしてほしい〟って考えたからなんだって!!


だから、実栗ちゃんとも仲良くしたいから、よろしくねっ!!」


興奮気味の未來は、息継ぎをする事も無く、一気に喋り切った


そんな未來の様子に、驚くでもなく、呆れるでもなく、綾瀬実栗の完璧な笑顔は、全く崩れなかった



〝こんな人間が本当に存在するのだろうか〟


目の前に実際に存在するというのに、信じる事ができない



「...、...き? ……輝祈!!」


「……っ!!」


未來の声で我に返った


「あ、ごめん……


雛桜輝祈、よろしく」


発したその声は、密かに震えていた



私が初めて、恐怖という念を抱いた人間


できることなら、彼女と関わることは、なるべく避けたいと本能が訴えている


しかしそれ故、彼女には何かあると確信がある


近々、〝あの人〟たちに話そうと決めた



彼女は未だに、完璧な笑顔を貼り付け続けている


「綾瀬実栗です


こちらこそ、どうぞよろしく」


そして少し笑みを深めた彼女


私の震えた声に、未來と綾瀬実栗が気付いたのかは、分からなかった
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