全てが終わりを告げる時

慎也と柚希

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「───元柱固具、八隅八気、五陽五神、陽動二衝厳神、害気を攘払し、

四柱神を鎮護し、五神開衢、悪鬼を逐い、奇動霊光四隅に衝徹し、

元柱固具、安鎮を得んことを、慎みて五陽霊神に願い奉る───」


毎朝の習慣である言葉の呪符を唱え終え、そっと目を開ければ、向いていた朝日の光が目に染みた


この路地は早朝だけ、日が差す



昨日、倉渕会長を見送った後、部屋へと戻れば、輝祈は冷静を装っていたが、その目元には泣いた痕跡が見られた


僕がいない間に何が起きていたのか。 輝祈本人が言おうとしなかったのだから、僕も敢えて聞くことはしなかった


でも、涙の理由を、僕は理解している


輝祈からも柚希からも聞いたわけではなく、僕の予想でしかないが、きっとその予想は間違っていない



彼女はおそらく───人を傷付けてしまったことに、涙していた



そう思えるのは、辛辣な言葉や冷血な態度で隠された心には、深い優しさが満ちているということを、知っているから


輝祈と出会ってからの、七年という月日の中で、何度もそれを感じたから───



「……もう、七年も経つのか……」


柚希と出会ったのも、輝祈と出会ったのも、もう七年も前のことなのか


そう思えば、ふと、昔の記憶が脳裏に蘇った
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