クールな御曹司はウブな彼女を乱したい〜抱き尽くされる溺愛初夜〜
家族でたまに外出すれば、みんなの視線は有名監督の父や女優である母と姉に集まり、私はまるで……赤の他人のような存在。

疎外感や劣等感を感じずにはいられなかった。

母に優しくされたくて私は、きちんとお留守番の出来るいい子でいようとしたんだ。

一度駄々をこねたことがあったけど、母が凄く困った顔をして深く溜め息をついて……自分が突き放されたような気がして怖かった。

それに、少しでも……自分という存在を認めて欲しかったんだと思う。

幼稚園の送り迎えはいつも母のマネージャーの女の人がやっていて、家に帰れば私はひとり。

広い家が余計に広く感じた。

ダイニングテーブルの上には千円札。

これが置かれている日は、母は帰りが遅くなる。

この千円札で夕飯を買えということだ。

母から電話はかかってくるけど、一緒にはいてもらえない。
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