◆Woman blues◆
「うん……だけど……」

斬新でありながら品を損なわない素晴らしいデザインだし、ダイヤの4cグレードも高い。

しかも粒がかなり大きいし。

きっとメチャクチャ高かった筈だ。

私の気持ちを察したのか、太一が悪戯っぽく笑った。

「はっきり言って高価でしたよ。けどカミーユに値引きしてもらいました」

そう言ってハハハハと笑う太一は凄く爽やかで、私は呆気に取られた。

「いいの……?」

そう言った私の指に、太一がそっとキスをした。

「あなたは僕の大切な人ですよ?カミーユの言う通り、あなたに贈るなら彼の指輪しかない。それにこれくらい大きなダイヤじゃないと、あなた自身に申し訳ない」

「太一……」

私は涙で途切れてしまった言葉を言いたくて、再び彼を見上げて口を開いた。

「……太一、ありがとう。私を凄く大切にしてくれて。これからは……私も太一を大切にする。いっぱい、いっぱい。凄くあなたを大切にします」

たちまち太一の眼が真ん丸になって、眉が上がった。

「夢輝さん……」

「きゃ!」

勢いよく太一に抱き締められて、私は思わず息を飲んだ。

「じゃ、じゃあ……オッケイですか」

「……うん」

「や、やったあ!やったあ!」
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