やっぱり俺のお気に入り
「だからさ、意味分かんねぇって。宗、もう少し分かるように言ってくれよ」



いつものように騒がしい休み時間。



ザワザワした教室の中で、俺は上手く宗の言葉が聞き取れなかった。



俺はそんな状況に少し苛立ちながら、目の前の宗に向かって怒鳴るように言った。



「あ、うん・・・だからさ、俺の親父の会社がさ、コマーシャルに使う曲を歌うアーティストを探してるんだよ」



宗は俺を見ながら、そう言って笑顔を作った。



考えてみたら宗はいつだって冷静な奴なんだよな。



「お前の親父の会社??」



「そう。ギャラクシー化粧品って知ってる??」



「あぁ、知ってる。ってかギャラクシー化粧品なら誰でも知ってんじゃねぇ??・・・・・それが?」



「うん、俺の親父、そこの社長なんだよ」



「はっ??嘘だろっ??お前・・・」



「イヤ・・・・マジで・・・親父の会社なんだ」



ギャラクシー化粧品のコマーシャルと言えば誰でも目にしたことがあるだろう?



有名な芸能人なんかを使ってインパクトのあるコマーシャル。



鮮明で優雅な女優の映像も話題にはなるが、



そこで流れる曲はそのコマーシャルをより一層盛り上げるんだ。



新しいバージョンが出来たり、新製品が出たりするとすげぇ話題になるコマーシャル。



その会社が・・・・・宗の親父の・・・・・?????

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