After -deconstruction "God Ideology"



 貿易のことしかなかった裕福な人々がそれよりも貧しく統制された人々に攻撃されている.

最も平和で栄えた港が黒くよどんでいっている.

この港町は連帯も弱かったが,それ以上に絶対数が少なかった.

フリティカルで生産されたような連帯を埋め込まれた多数の者達が絶え間なくやって来る.

ある者はその場で殺され,またあるものは船に乗って逃げようとする.

だがそれは無駄なことだった.

確かにフリティカルは物理の国かもしれない.

しかし,なら,アーメルスは魔法の国だ.

魔法が離れたところに飛んでいくことは決して珍しいことではない.

黒くよどんでいるのは例えではない.

アーメルス兵などが攻撃する魔法で多くの船が沈んでいくありさまそのものだ.


 この戦争は恐ろしい.

普通ではないのだ.

静か過ぎるのだ.

フリティカルとアーメルスの連合軍は従順すぎるのか,それとも機械なのか,もくもくと仕事をこなしている.

相手のミナトシティの住人を殺しても悲しむことも,そして喜ぶことさえしなかったのである.

ただただルーティーンな仕事をこなしているようにも見える.

それでも,これだけではこの戦争を静かだと断言することはできない.

相手側も声を出すことはできるからだ.

先のフリティカルとアーメルスの戦いでは,当時のフリティカル兵は声を上げて死んでいった.

ミナトシティの日常は賑やかだ.

よく話す人も多いし,活気のある町なのだ.

にも関わらず黙って死んでいく.

彼らが死ぬときに黙っていたいかどうかは定かではないが,おそらくは違うのだろう.

あまりにも早く死んでいく,それだけの話でしかない.

同胞が死んでいくのを見て,悲鳴をあげる前に自分も殺される.

それだけだ.
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