貴方の事を奪いに来たの。
大学2回生


ーー夏本番前。






あたしは今、高校の校門の前に立っている。

龍之介くんに彼女が出来た、と聞いてから

一回も訪れていなかった。

会って気持ちが聞きたいーーなんて思ったのは遥か前。

それまで決心がつかなかったあたしのヘタレ具合。

けれど、夏休み前に会っておかなければ

龍之介くんは部活を引退してしまい、会える機会は無くなってしまう。

差し入れも持って来たし、よしっと気合を入れ、

あたしは校内に足を踏み入れた。

前回と同様私服のため、嫌でも目立ってしまうので

一直線にグラウンドに足を向かわせる。







「あれ、百合先輩…?」

「望月くん…!」






グラウンドに向かう途中で見知った顔にホッとする。

望月くんはへらへら笑いながら、あたしの手元を見て、

差し入れっすか⁉︎と喜んだ顔をした。


< 110 / 128 >

この作品をシェア

pagetop