ラグタイム2号店
Ragtime4◆祭りの夜
月明島での生活もすっかりなれ、俺たちはすっかり島民の一員になっていた。

7月に入った時だった。

「何ですか、それ?」

その日もいつものように風呂からあがった俺は、安藤さんに風呂が空いたことを伝えようとリビングに顔を出した。

彼は押し入れから何かを出して、テーブルのうえに置いていた。

「ああ、これか?」

安藤さんはテーブルのうえに置いてあるそれを指差したので、俺は首を縦に振ってうなずいた。

「これね、提灯(チョウチン)なんだ」

安藤さんはそう言って提灯を広げた。

白い紙には黒い文字で“海辺”と喫茶店の名前が書いてあった。

「へえ、何に使うんですか?」

俺は安藤さんの隣に腰を下ろすと、質問をした。
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