森の王子さん。



「……ただいま。」


ポツリと、玄関をあけて零しても
返ってくるものはなにもない。


こんなに広い家なのに

わたし1人で住んでいるようなものだ。


うちは龍宝寺の家系で
裕福でお金持ち。

それだけ聞けば、幸せに聞こえるだろう

けれど、少なくともわたしは
幸せなんかひとつもない


不幸しか、待ってない



父も母も仕事が忙しくて
家には滅多に帰ってこないし

帰ってきたとして
冷ややかな雰囲気が広がるだけで

わたしから見れば
ただの恐怖の対象でしかないのだ

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