プリテンダー
一人暮らしの男の朝食なんて、せいぜいパンとコーヒーとかコンビニのおにぎりなんかが当たり前だと思うけど、僕は毎朝欠かさず朝食を作る。

鰹節と昆布から出汁を取って具だくさんの味噌汁を作り、魚を焼いたり野菜のお浸しを作ったり。

それと同時進行で、玉子焼きや鶏の照り焼き、野菜炒めなど、日によっていろいろな弁当のおかずも作る。

炊飯器の蓋を開けるとホカホカ湯気が上がり、炊きたての御飯のいい匂いが部屋中に広がった。

弁当箱に御飯とおかずを詰め、冷ましている間に朝食を取る。

炊きたての御飯、具だくさんの味噌汁、納豆、鮭の塩焼き。

朝でもたくさんの栄養が取れるように、味噌汁にはいろいろな具材を入れる。

今日の味噌汁の具は大根、大根の葉、しいたけ、人参、里芋、油揚げ、豆腐。

味噌汁を昼食用にスープポットに入れて、弁当は完成だ。

社員証を付けて本社ビルの1階にある自社のコンビニに行けば、社員割引きで買い物できるけど、よほどの事がない限りは自分で作った弁当を持って行く。

いくら自分達が開発した弁当とは言え、毎日コンビニ弁当で昼食を済ませるのは気が引けるから。

僕みたいに手作り弁当を持参する社員は珍しい。

ほとんどの社員は1階のコンビニで買った物を、上の階のランチルームで食べる。

そこで手作り弁当を広げるとジロジロ見られるので、僕はいつも試作室で一人のんびり昼食を取る。

今日もうまくできた。

お昼が楽しみだ。



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