痛くて愛しくて、抱きしめたい

【やっばーい。イケメン!】

ポコン、と長方形の画面にスタンプ付きの文字が浮かんだ。

【うん。やばいよね】
【そう? 私はイマイチ~】
【教育実習ってことは、大学3年か4年かなあ】


教壇に立つ彼にバレないよう、数人の女子が机のかげでスマホをいじっている。

授業中にこっそりグループラインをするのはいつものことで、わたしも普段なら参加するのだけど。

今は、黙って文字だけ追っていると、


【葉月もけっこうタイプじゃないの?】


とつぜん話をふられ、反応した拍子にスマホが手から滑り落ちた。

教室中に落下音が響き渡る。


「宮原葉月(ミヤハラ・ハヅキ)!」


教室前方のすみから厳しい声が飛んできた。
口うるさい英語のおばちゃん教師だ。

今日は教育実習生の前だからって、普段より更にえばってる。


「授業中は携帯電話禁止って、いつも言ってるでしょう」

「すみません」

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