空に願いを…
遺言


「桜ちゃん、時間は大丈夫?」


『え、えっ!?やばいっ!お母さん、ここの時計、また遅れてますよ!』


遅刻しちゃう、と大急ぎで
ご飯茶碗を片付ける


「あら?本当だ。桜ちゃん、そのままでいいから、早く行きなさい」


『ありがとうございます、お母さん、行ってきます』



両親と和解したわけではない
私は今、空の両親と一緒に暮らしている


『大地ー?幼稚園に行くわよ!』


はーい、と声がきこえたのは
玄関の外だった


『大地、何やっているの?』


「ぱぱと、おはなし、してた」



そう言って、大地は空を見上げていた



大地は
私と空の子供だ


初めて妊娠した子に
空がコッソリ付けてくれた名前を
私はそのまま使う事にした
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