LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―

「怨む? 何のことです?」



総統の屋敷は、県境の山手のほうにある。


市街地までは案外遠い。一本道だから迷う心配はないけれど。



ぼくは毎朝、ローラースケートで屋敷を出る。


行きは下り坂。バイク並みのスピードが出るから、目を保護するためのバイザーを掛けている。



駅のそばに出たら、革靴に履き替える。


ローラースケートはスポーツバッグの中。駅前で友人と落ち合って学校に向かうのが日課だ。



「はよ、海牙」


「おはよう」



升井瑠偉《ますい・るい》。小柄で童顔なのを気にする同級生。


ぼくと並んで歩くとさらに小さく見える、と愚痴を言う。


そのくせ毎朝、瑠偉はこうしてぼくを待っている。



「おまえ、昨日、また集会を抜け出したよな。担任がキレてたぞ」


「そろそろ学習してくれればいいのに。ぼくはこういう人間なんですが」


「だよな。海牙を枠に嵌《は》めようってのが間違いだ」


< 57 / 415 >

この作品をシェア

pagetop