生ぬるい海の中で生ぬるい君と生ぬるい物語を
出会い
目を見開いた。
あんなに静かな水面が、音が、風が。
一斉に騒いだのだ。

そして俺の目の前に現れたのは
泡と光に包まれた、
Tシャツにスカートという軽装のお姫様。
荒い水の流れに合わせ、長い髪がたなびく。


見られては駄目なのに
早く隠れなくてはいけないのに

どうしたものだろう。体が動かなかった。
きっと一生忘れることは出来ないだろうと、段々と閉じていく深い焦げ茶色の瞳を見て思った。

一瞬だけ彼女が微笑んだ気がしたのは
俺の気のせいであろうか。



そんな彼女と出会った、生ぬるい夏の日。
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