Four you ~2+2=4=2×2~
「ん? どないしたん?」
「ガールズトークに入りたいの?」
「別に大丈夫だよ~」
「いや、そういうことじゃなくてな」

手塚姉妹が直都を誘っている光景を見るのもレアといえばレアだったが、ノリのいい直都がその話を一蹴した光景はもっとレアだった。

「ここだけの話、聖都が体調を崩すなんて、オレも見たことがないんだ」
「えっ?」
「聖都、風邪さえもひいたことがないからな」
「…そんなに丈夫やったん?」

どちらかといえば、趣味でバスケをやっている直都の方が健康バカな気もするが…。

「ああ。だからちょっと心配でな」
「…その話が本当なら、私もちょっと心配しちゃうかも…」
「何だよ、疑ってるのか?」
「別にそういうわけじゃないけど…ね、若奈?」
「うん…」

確かに、にわかには信じられない話だった。だけど直都が嘘をつけない性格だということは、私には火を見るより明らかだった。

「心配なんやったら、保健室行く?」
「そんな大したことじゃないと思うけど、詩音?」
「そうそう。教室を出て行った時だって、全然重症そうじゃなかったじゃん」
「まぁ、せやけど…直都は心配なんやろ?」
「ああ」
「せやったら、行かん手はないやん」

半分は遊びだったが、半分は本気だった。

直都の話を信じるならば、私達にとっては小さいことでも、聖都にとっては甚大な「何か」が起きたのかもしれない。

そしてその訪問が、これからの私達の運命を、大きく揺るがすこととなる。
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