Four you ~2+2=4=2×2~
「…よし、終わった~!」

寮に戻り、宿題を終わらせる。これで今日やることはすべて終了。あとはさっさと寝るか、あるいは消灯時間まで喋るか。その二択が待っているだけだ。

「宿題終わるの早いね~」
「アタシ、まだ半分とちょっとしか終わってないし…」

どうやらその二択は、後者になったようだ。

「…そういえば詩音、あの本読んだの?」
「あの本って?」
「ほら、前アタシ達に言ってたじゃん。先生からもらったって。…何て名前だっけな…」
「クリスタル?」
「そう、それ」
「読んだの?」
「うん、読んだで」
「どうだった?」
「う~ん…どうって言われても…何て言ったらええんやろ…」

作者は内藤二三(ナイトウ・フミ)というらしいが、私も初めて聞いた名前だった。それに、さっぱりしないフルーツを食べたような感覚が今もまだ残っていて、一言での表現が難しい。

「せやな…一回読んでみた方が早いわ」
「え~、感想教えてくれないの~?」
「自分で読んだ方が絶対よう分かるって! 百聞は一見にしかずってよう言うやろ? それや、それ」

少ししぶしぶ、といった様子で本を受け取った映奈が、表紙を開く。若奈も後ろから覗くようにして読み進めていく。

「…じゃあ、ウチもう寝るな。二人が読んでる最中、暇やし」
「うん、おやすみ~」
「おやすみ~」

布団に潜り、目を閉じる。だが、睡魔は一向に襲ってこなかった。代わりに私の元へ到着したのは…想像もしなかった、ある「奇策」だった。
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