押しかけ社員になります!

「西野…。美味しく食べるのが一番だ。そのままでいいんじゃないか?
さて…、夜はどうする?」

?…。……。

「まだ時間あるけど、準備するか?」

……。

「何が食べたい?」

ほっほほ…ご飯の事だったのね。ほほほ。…。

「私、何か作りましょうか?」

決して慌てて自分の内面を取り繕った訳じゃない。

「大丈夫か?辛くないか?無理しなくていいんだぞ?」

「大丈夫です、無理はしません。部長が居ますから。大丈夫です。野菜とかありますか?」

「そうだな、…さほど無いかもな~。
作りたい物の材料を買いに行くか…。出掛けるならついでに外食してもいいし」

ん~ん。買い物を一緒にして、荷物を持ってくれる部長と手を繋いで歩いて…。
あ、ここ入って見ないか、なんて言われて軽くご飯を食べて帰るとか。
…そんなのもいいなぁ。
一度に全部してしまうと勿体ないから、楽しみは残しておこうかな…。

「では…買い物に出掛ける事にしましょうか」

「そうだな」

「先に片付けましょうね」

キッチンにお皿を運ぶ。部長も何気に手伝ってくれる。
一緒に居ると、こんな事が何でも無いみたいに、日々あるのね、きっと。

部長を見ていた。
…凄い事だ。部長が隣に居てお皿の泡を流している。
私、自然に横に居るけど…。
美味しいとか言ってご飯も食べたけど。

この人と…、部長とシちゃったんだよ?
…かぁ、…。何を今更なんて思いながらも…。
部長は平然とお皿を洗っている。私は…平然じゃ居られなくなって来た…。

「ん?…。終わったのか?」

あ…。

「はい、終わりました」

「じゃあ、出掛けるまで少し休もう」

キャ。…部長?

「何もしない、心配するな。西野は疲れている。…運ばせて貰うだけだ」

運ぶだけって?何?
ソファーに降ろされた。

「ここで、俺の膝枕で寝るってのはどうだ?」

部長が座った膝の上に頭をのせられ、クッションを取ると渡された。

「抱いてろ…。安心するだろ」

ハーフケットを広げて掛けてくれると同時にフワッとお日様の香りがした。
頭を撫でられる頃には、もう眠気は来ていた。
部長の膝枕なんて…なんて贅沢な…。

「部長も…眠たくな、…た、ら…寝て…」

「ああ、心配するな。寝るから」

…温かい…気持ちいい。
< 120 / 192 >

この作品をシェア

pagetop