押しかけ社員になります!

「私って普通じゃないんでしょうか。今、充分幸せなんです。困難が好きなんでしょうか。M気質なんでしょうか。それって回り回って変態なんでしょうか」

…またいつかみたいに変態の話になってしまった。どこか、幸せ過ぎるのが不安なんだと思う。

「俗に言う、ツンデレがいいって事か?」

あ、確かに。

「はい!そう言われたら、そうかもです。…はい、たまに冷たくされて、時々甘く…はい、それです、部長」

「で、これはM気質でいいのか…それともSになってみるか?」

Sなんて無理。そんな…わざは持ち合わせていません。引き出しが無い…。

「ゔ~。…何とも言えません」

「西野が俺を追い掛けるって言っても、もう手の内はバレているしな。第一、もう好き同士になってしまった。今更するのは演出っぽくなってしまう。
まあ、冷たくして欲しいなら、理不尽に叱りつけて…その後でどっぷり可愛がるけどな?」

……。ハハハ。そうか…そうよね。……それが嬉しいってなったら、やっぱりちょっと……Mなのかもだ。

「だからと言ってだな。俺を困らせてみようって、単純にスリルを求めて、違う相手には行くなよ?」

それは無い。有り得ない。
ん、んん。取り敢えず、いきなりキスをしてみた。

「…ツンデレの…デレです。違う相手になんていきません…」

頂きました部長の唇。

「西野をイかせるのは俺…」

ん、…ん。

「口を塞ぐのは、こうする、でしたよね?その先は言わせませんよ?」

「フ。それは時と場合だな。今のこれは逆効果だ。それともわざとか?今のは攻められたいが為の…攻めか…」

部長の反撃は速かった。頭を押さえられ唇を重ねたまま、あっという間に下にされた。深く口づけていた唇が離れていく。腕を付いて上から見下ろすその妖艶な目に捕われてしまった。

「俺の都合なんか気にせず、いつでもどこにでも押しかけて来い…。俺も変わらず押しかけるけどな…」

あ、…。はぁ。もうずっと囚われている。部長には…やっぱり敵わない。
今更アポ無しで押しかけたって、余裕でカワサレてしまうだろう。でもやっぱり私は迷惑なくらい追い掛け続けたい。

「は、い、吉城さん」

ごそごそと部長が手探りで何かを取ろうとしていた。

「…手、縛って見るか?」

探り当てたのはネクタイ。

「…え゙、結構です!」

「…そうか?」



【誓約書】

生涯共に居る。

      青柳吉城
      西野和夏
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