押しかけ社員になります!


「部長?」

「…なんだ」

う、しつこく攻めたから機嫌悪くなったかな。

「お腹空きませんか?そろそろ、お昼ですよ?ここら辺まで来たら、会社の人に会う心配も無いんじゃないでしょうか。どこか入りませんか?」

「西野、してやったりとか、思ってるか?」

「何がです?」

…はぁ、惚けた振りか?まあ、どうでもいい。

「ふぅ…。何でも無い。何か食べたい物はあるか?」

やった!

「部長?ファミレスに入った事はありますか?」

「ん、あるぞ。全然、普通にある。どうした、意外か?」

「んん。部長だから、お洒落なレストランとか、バーとか、そんなイメージが先行します」

「まあ、バーに行かない訳じゃないけど。今時の店はどの店も大概お洒落といえばお洒落な造りじゃないか?」

「…そうですね」

「で、ファミレスに入るのか?」

「はい。今日はファミレスがいいです」

「今日はってな…また、これきっかけで何度もランチをするつもりか?」

なんで俺から聞く…。そうしたいと思ってるからか。これでは西野の思う壷じゃないか。

「部長にその気がありさえすればです」

「…そういう事だよな」

「はい。まあ、いいじゃないですか。今日は今日です。取り敢えず入りませんか?」

「解った」

「渋々ですか?」

…はぁ。

「そうではない」

西野、言葉も行動も強気になって来てる感じだな。頑張りどころだと思ってるんだろうな…。


「さて、俺は、何食べようかな…」

「私は決まってるんです。ハンバーグです」

「おっ、奇遇だな。じゃあ俺も」

「じゃあって…早く決めて食べて、少しでも早く帰ろうとか思ってませんか?まだ決めかねてた感じだったじゃないですか」

今、メニューを見て考えようとしてたじゃないですか。急に合わせて来るなんて…。もう…。

「…そんな事は無い、ぞ」
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