振り向いたらあなたが~マクレーン家の結婚~
2
舞踏会の日、その日は昼から舞踏会に出張予定の三人の娘たちは、メイドの手を借りてドタバタ準備をしていました。髪を結いあげるのに、それぞれ一時間かかり、ドレスを着てみると、継ぎ足さなければいけない部分がいくつもあったので、大急ぎで縫い上げ、コルセットを着けるのにも一人ではできず、一苦労でした。
そして、おしろいを塗り、念入りにセットしました。
夕方、ようやく三人の娘たちは、舞踏会に出席できる準備ができました。
予約しておいた辻馬車に乗り、王宮へと向かいます。
王宮へと続く道には、たくさんの馬車が既に並んでおり、門に着くと、順に招待客が降りて行きます。マクレーン家を乗せた馬車もようやく、門の前に着きました。
一人づつ、王宮の従者の手を借りて、ドレスの裾を持ち上げて入って行きました。
王宮は、それは豪華絢爛で、花がどこかしこに飾ってあり、着飾った社交界の名士たちが談笑していました。金と白を基調にしたとても美しいお城でした。
入口では、王室の総務庁長官がいて、招待客は一人づつ、挨拶していっていました。そして、招待状を見せて、確認していました。
マクレーン家の出席者、長女マリアンヌ、次女のリリー、三女のメアリーも順に総務庁長官にご挨拶に伺いました。大広間の舞踏会では、既にたくさんの人が、食事や飲み物を片手に持って、食べながら旧友と談笑したりしていました。
今日はジョージ王子の生誕25年記念舞踏会です。皆、それぞれ浮足立っていて、いつも以上に着飾っていました。
マリアンヌも昔の女学校時代の友人を見つけ、そちらの方へ話に行きました。友人たちは皆もう既に結婚しているとのことでした。マリアンヌも、昔話に一花咲かせ、再会を喜びました。
マリアンヌにとって、この日は大事な日でした。もしかしたら、良い出会いが待っているかもしれません。
ですから、妹たちよりも念入りに身だしなみを整えて来ました。

王室の楽団がぞろぞろやってきて、銘々の楽器を取り出し、演奏を始めました。
そろそろ舞踏会の幕開けです。
照明が暗くなり、皆音楽に耳を傾けていました。
そして、ジョージ王子が現れ、王座に座りました。両側には、ジョージ王子の父と母、ハイリー二世とシャーン王妃が座っていました。総務庁長官がワイングラスを片手に持って、「今日は我々のジョージ王子の生誕祭、25回目です。王子がこの年までご無事で生きられ、国家を大きく繁栄させてくださることに、心からの尊敬と敬意を表します。今日は王子の25回目の誕生日をみんなで祝えることをとてもありがたく存じます。代表して、このわたくしが、祝詞を述べさせてもらいます。乾杯!」と叫びました。続いて出席者もグラスを片手に持ち上げ、「乾杯」と言いました。それから祝いの行事が続きました。
それから、数時間後にはメインのダンスの時間が始まりました。女性は、男性に申し込まれて、初めて踊ります。また、知り合いには、エチケットとして申し込んでいきます。
今日のダンスパーティーでは、何人かの知り合いがいたので、マリアンヌのダンスカードにも、いっぱい名前が埋まりました。それはそれでうれしい時間を過ごしたのですが、どこか物足りない気持ちがありました。
今日はまだ新しい男性に出会っていなかったからです。マリアンヌは、これだけ多くの人がいるのだから、新しい出会いがあることを期待していたのですが、見知らぬ男性は彼女に興味がないのか誰も申し込んできませんでした。マリアンヌは、それから何回か踊り、少し体がほてって熱くなってきたので、体を休めに群衆を抜けようとしました。
ウロウロと廊下を歩き、壁に掛けられている絵画をゆっくりと眺めていました。どの絵も風景や、歴代の王族を表したもので、油絵で描かれているようなものばかりでした。きっと著名な画家が描いたことはマリアンヌもすぐわかりました。マリアンヌがそれぞれをゆっくりと見つめていると、何だか背中に違和感を感じました。マリアンヌは、不思議に感じて、クルリと振り向きました。
するとそこには、スラリとした背丈のハンサムな男性が柱にもたれて、悠然とこちらを見ていました。
マリアンヌは、驚きのあまりポカンと口を開けて、そのまま立ちつくしてしまいました。
その男性があまりにも美しくハンサムで、そんな人がジッとこちらを見ていることに驚いたのでした。あまりにも長いこと見つめ合い続け、ふつうは目が合うと、向こうから視線をそらすものなのに、その人はずっと見つめ続けました。
我を忘れていたマリアンヌは、ハッと気付いて目をそらしました。
それから、頭の中がグルグルして、立ち去るべきか声を掛けるべきか悩みました。
すると向こうから妹のメアリーがマリアンヌを見つけ、「お姉さま」と声を掛けて、こちらにやってきました。
そして、男性に気づき、「あら、話しているところだったかしら。そうだったら、ごめんなさい。」と言いました。
マリアンヌは、「いえ、違うの。」といい、その男性に向って、「あの、では、さようなら。」と言い、その場を離れました。
< 2 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop