その背中、抱きしめて 【上】



(慣れないんだよなぁ…)


高遠くんに。

いつまでたってもドキドキする。

さくらちゃんと羽柴くんみたいに何でも言い合える仲になるとか、私にはできないのかな。


「そういえば先輩聞いた?来週の練習試合、芦澤も来るんだって」

「え、そうなの?まだ聞いてない」


県営公園の体育館で6チームで練習試合っていうのは聞いてたんだけど。

(芦澤学園…清水くんも来るんだ)


なんだか変に緊張しちゃうな。

元旦に会って以来だもん。

しかも、春高で準優勝だったんだよね。

”準優勝だった…”ってLINE来たから”残念だったね、でもおめでとう”とは返したけど…それっきり連絡取ってないし。


話す機会あるかな。

直接おめでとうって言ってあげた方がいいよね。


「ねぇ、先輩。何かよからぬこと考えてるでしょ」

「えっ?な、何よからぬことって。何にも考えてないよ」


高遠くんと目が合う。

その目力に耐え切れずに視線を逸らした。


「ほら、目ぇ逸らした。大地のことで何か考えてんでしょ」

「違うよっ。目を逸らしたのは…だって…。とにかくよからぬこともやましいことも考えてないよっ」


その顔に、その目に見つめられたら条件反射で目を逸らしちゃうよ。

自分がそのくらい綺麗な顔してるってことにいい加減気付いてほしい。

(…気付いてるのか?気付いててわざと私のこと見てくるのか…?)




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