ヴァンパイア達と甘くて刺激的な生活を
「えぇ、聞きました。すみません、体が冷えてきたので部屋に戻ります」


すぐにここから立ち去ろうとした。


しかし、それは出来なかった。


翔人さんの横を通り過ぎる時に手首を掴まれてしまったからだ。


「あの、翔人さん。放してもらえませんか?」


「あなたの血をくれれば放しますよ」


「…は?」


まさかの返答に素っ頓狂な声が出てしまった。


しかし、そんなことを言った彼の顔は未だにニコニコと笑っている。


そして、手首を引かれたかと思うと、そのまま翔人さんに抱きしめられた。


翔人さんの左手が腰にしっかり回り、抱きしめられる。


「あの…翔人さん!」


空いている右手で翔人さんの胸を押すがビクともしない。


「ふふっ、若菜様。そんな力で抵抗しても無意味ですよ」


今までとは違う低い声が耳元から聞こえた。


いつもの翔人さんらしくない声に驚いてさらに力を込めた。


「耳弱いんですね」


フゥッと耳に息をかけられる。


くすぐったいような感覚がして、体を震わせる。


そのうち、耳元にあった翔人さんの顔が首筋を伝い、いつの間に放したのか、右手で私の腰を支え、左手で首回りに残る髪をはらった。


「さぁ、頂きますよ」


その言葉とともに翔人さんの牙が私の首筋に刺さった。




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