モテ系同期と偽装恋愛!?

初体験が終わったのは、明け方近くのことだった。

喘ぎ疲れてウトウトしかけたら、体に回されていた腕が解かれ、彼がベッドから降りようとしていて、ハッと目を開けてその手を掴んだ。

「どこに行くの?」

帰ってしまうのではないかと不安になったのだが、違うみたい。

優しく微笑み「待っていて」と言った後、彼は寝室を出て行って、すぐに戻ってきた。

その手には、赤いリボンの付いた小さな白い箱が。

誕生日プレゼントだと手渡されて驚き、ベッドに身を起こした。

昨日まで別れていたのに、どうしてプレゼントを用意していたのだろうと不思議に思う。

ベッドの上であぐらをかいた彼は、苦笑いして教えてくれた。

「それ、偽の彼氏を続けていた時に買った物なんだ。紗姫に似合いそうだと衝動買いして……。
で、別れたから渡せなくなってたんだけど、未練がましく持ち歩いてた。すげー恥ずかしいことしてるよな、俺」

「そうだったの……。
恥ずかしくないよ、すごく嬉しい、ありがとう」

リボンを解いて紙の箱を開けてみると、中にはまた箱が。

それはどう見ても指輪ケースで、胸を高鳴らせながらケースを開いたら……水色の小さな石を付けたシルバーリングが入っていた。

石の台座が花形なので、遊園地でもらったおもちゃの指輪の本物バージョンみたいだった。

< 253 / 265 >

この作品をシェア

pagetop