それは秘密です
千代子
今日私は、同期の六島君から、衝撃の告白をされてしまった。


「俺さ……。どうやら、宣伝課の加東さんの事が、好きみたいなんだよな…」


花の金曜日。

会社帰りに訪れた行きつけの居酒屋にて、二人だけの宴も終盤に差し掛かり、残り一個になっていた揚げシュウマイをゲットして、ほくほくと頬張っていた私は一瞬フリーズした。


「……え?かとうさんて…」


いつもはじっくり味わう口内のそれを急いで咀嚼し飲み下し、彼に視線を合わせつつ、私は言葉を繋いだ。


「私の知ってる『宣伝課の加東さん』っていったら、あの人しか思い浮かばないんだけども…」
「うん。あの課でその名字は一人しかいないから」
「いや、だって、あの人、男だよね?」

私はズバリ核心に触れた。


「む、むとう君て、そっち系の人だったの?」
「いや、そんな筈はない」


私の問いかけを力強く否定したものの、すぐに眉尻を下げ、彼は歯切れの悪い口調でボソボソと呟いた。


「……ないハズなんだけども、でも、彼のことだけは、どうしようもなく気になっちまうんだよな……」


ほんのり顔を赤らめたりなんかしちゃったりしながら。


「加東さんとはアパートからの最寄り駅が同じで、朝、一緒になることがちょこちょこあってさ。まぁ、あっちは早出残業直行直帰が当たり前の激務だから毎日顔を合わせる訳ではないけど」


六島君のそんな表情初めて見た。
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