親愛なるあなたへ
出会い

回想 1

先輩に出会ったのは約二年前。


私たちの入学式でのことだった。


今年、入学するのは百十三人。その内、幼馴染と呼べる人はわずか九人だけだった。なぜかというと、私たちは本島ではなく島内の学校に小中ともに通っていたからだ。


そして、同学年の友達は九人だけ。しかも、保育園からの幼馴染が七人もいるので物凄く仲が良かった。


高校のクラスも全員が一組に配属されることになったほど。


話は逸れたが、先輩との出会いに戻そう。


校長の長い長い話も終わり、入学式も終わろうとしていたとき。


突然、先輩はギター片手に壇上に上がった。


そして、マイクを掴み私たちのほうへ一礼した。



「入学生、入学おめでと。俺たちの学校の校長は話が長くてごめんな。でも、俺の話は手短にするからよく聞け」



会場内がザワザワと騒ぎ出す。私も隣にいた友人、森脇加奈子に話しかけた。



「誰、あの人」



「さぁ。基地外じゃない?でも、ギター持ってるし実緒の好きそうなタイプじゃない?」



「そうだね。音楽好きな人は大概好きかな」



なにそれ、めっちゃ単純じゃん。そう言いながら加奈子は笑った。


でも、奇しくも図星である。黒髪で音楽好き。


嫌いなタイプではなかった。
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