イミテーション彼氏 ~幼なじみと嘘恋愛~


「あー……わたしの彼氏人見知りするから来ないかも……?」

精一杯残念そうに言ってみるわたし。


「えーっ!? なんとか説得してよっ」

「そーだよ、柚希だけ写真も見せたことないんだからさー、あたしらも気になってんだよ?」

「いやもう極度の人見知りでさらに写真嫌いでね!?」


首筋につーっと汗が流れる。

夏のせい、暑さのせいだこれは。


「え……柚希の彼氏ってコミ障?」

「い、いやいやいや! イケメンで背が高くて優しくて黒髪でメガネが似合うイケメンだよ!?」

「うーわ出たのろけ。イケメン2回言ってるし」


うんざりした顔で葵が目を閉じた隙を見計らって汗を拭う。

いまだ心拍数は上がりっぱなし。


「んーでもさっ! やっぱそこまで絶賛する彼氏とか気になるじゃんっ?
 絶対連れてきて! てか次会ったとき写メ撮って私らに送ってっ」

にっこりほほ笑む茜。


「りょーかい……」

わたしも同じように笑えていたかは自信がない。


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