KANON

俺は、力のないカノンを抱きしめ泣いた。

「カノン…帰ろう…俺達の家に…」

カノンの返事がない。

「カノン…?」

カノンは、動かなくなった。

「カノン…ごめんな…気づいてやれなくて…
ごめんな…」と横たわるカノンを抱きしめ泣いた。

カノンは、病院で意識不明状態となった。

俺はカノンの目が醒めるのを待った。

病室でカノンの手を握り祈った。

ソラ…頼む。頼むからカノンを助けてくれ…と

すると、カノンの指が少し動いた。

俺はカノンの顔を見た。

カノンは、ゆっくり目を開け、俺を見た。

意識がボーッとしている表情で俺を見つめ口を開いた。

「あなたは…誰ですか…?」

「俺は…金井 翼…君は?」

「私は…丸井 カノン…です」
そう言った後、カノンが微笑んだ。

俺は、嬉しかった。
心の中で、飛び跳ねるぐらい嬉しかった。

数年後
俺は、海にいた。砂浜に座り太陽の光があたる海を眺めている。

カノンが隣に座る
「何してんの?」

「いろいろ、思い出してた」

カノンは、鼻で笑った
「そっかぁ…」

俺は、微笑んだカノンの横顔を見つめた。
「カノン…」

「ん?」海を見ていたカノンは俺に振り向く。

「ずっと一緒にいような…」

カノンは、微笑んだ
「どうしたの?急に」

「急に言いたくなった」俺は戸惑う事なく言った。

「変なの…」俺を見つめた。

俺はカノンにキスをした。

カノンの唇は、少し海の味がする。

遠くから、子供が俺達を指指す
「あ!チューしてる〜。パパとママ。チューしてる〜」

そう、俺とカノンの子供だ。

女の子で今は4歳。

名前は「空(そら)」

ソラのように、明るくて優しくて皆に慕われる人になってほしいから。

それと、ソラは俺の子供として生まれ変わったと信じたいから。

空がカノンに甘える
「ママ〜おなかすいた〜」

カノンは空を優しく撫でる
「じゃあ、帰ってご飯にしよう!」

空は嬉しそうに両手を挙げる
「やったー!!」

空を真ん中に3人で手を繋ぎ自宅に向かう。

「ご飯って何?」俺はカノンに聞いた

「シチューだよ」

「え!昨日カレーだったじゃん!」
目を見開き俺は言った。

「いいの…カレーとシチューは栄養あるってお母さん言ってたし」

空とカノンは手を繋ぎながら「ね〜」と声を揃える。

カノンは、相変わらず、カレーの翌日にシチューを作る。

俺はマンションの前で立ち止まり空を見上げる

太陽が眩しい、

ソラ…見ててくれよ。

俺…この幸せつぶさないから。

今度こそ、3人一緒だ。ずっと一緒だ。

なんでもない日常の会話が楽しくて幸せだから

ソラ…おまえは、俺の子供として生まれ変わった。カノンと3人で過ごして、今度は見れなかった幸せを一緒に見よう…

完。






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