正反対の二人





思わずその笑に見惚れた。




でもなんか悲しそうな笑い方。





なんでそんな笑い方をしてるの・・・・・











その表情を見つめていると・・・・



あれ、この人の手、ちょっとすりむいてる。


さっていこうとするその人に



「ちょっと待って、手、怪我してるから」



私がそう言って彼の手を取ると



少し驚いた顔をした。




「お前、まだそれ、」






「ん?何?」



何かつぶやいてた気がするけど聞き返したら黙ったので大したことはないんだろう。




「はい、できた」








私は昔から持ち歩いているうさぎの絆創膏を張った。



あーこの人、大人っぽいよね。



大人でしかも男でこの柄はやだよね。



昔、幼馴染に言われた言葉を思い出して少しまゆを寄せる。





すると声が降ってきた。









「帰ってたのか」



さっきの男に向けていたさっきなどチリにも感じさせない優しい声



その言葉がじわりと胸の内に溶け込む。





帰ってたのか?



意味が分からず首をかしげていると






「またな」










「あっ」






いっちゃった・・・・・






まだお礼も言ってないのに










また会えるかな


























< 23 / 100 >

この作品をシェア

pagetop