社内恋愛発令中【完】
「あ、ちが、」



「いつもと変わらない?」



近づいてくる蒼井さんの顔は、あの日見た笑みを浮かべている。



口の片端を持ち上げて、妖艶に微笑むあの顔だ。



「ち、ちがくて!どんな部長でもカッコイイって意味で…!」



アワアワと両手を前に出すあたしに、蒼井さんが手を伸ばした___



と、そのとき。



「部長ー!」



部屋の扉が開き、外から蓮也さんが顔を覗かせる。



そしてあたしたちを見ると、その格好を見るなり眉をひそめた。



蒼井さんがあたしに手を伸ばしたところで止まった格好。



それを見て変な想像をしてしまうのも、無理はないだろう。
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