社内恋愛発令中【完】
そんなあたしたちを見ながら、蒼井さんはただ首をかしげるばかり。



「俺、詩苑ちゃんに告白しました」



蓮也さんがフッと優しい顔をして言った。



蒼井さんの表情が、微かに変わった…気がした。



「詩苑ちゃんの返事は、見ての通りです」



見ての通り、あたしを蒼井さんに返すこの状況のことだろう。



蒼井さんは黙って蓮也さんをみている。



「でも勘違いしないで下さいね部長。チャンスがあったら、すぐ食らいつきますから」



蓮也さんはそう言うと、あたしに目線を移して笑う。



「じゃあ見張っておかないとな」



蒼井さんがあたしの頭に手を置いてそう言うから、ドキッとしてしまった。



「そういうことだよ詩苑ちゃん」
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