Last Letter~手紙がくれた想い~





「俺、恋愛経験なんてまったくない。

だから俺なんかに言われても…って思うかもしれない。


だけど、聞いて。


俺、お前の辛いときそばにいたよな?

じゃあ聞く。
お前が楽しいとき、誰がそばにいた??」


村瀬の声は聞こえなかったけど、口が


『弘斗』


と、動いていたのが分かった。



「普通さ、楽しいときにそばにいてくれたヤツが本命なんじゃねぇの?

俺じゃねぇんだよ、弘斗…弘斗なんだよ。



辛いとき、お前の話はいくらでも聞いてやる。

俺でよかったら聞く。


だけど、それは違うんじゃねぇの?


うまく言葉では言えないけど、きっとお前の心の中には俺だけがいるんじゃない。

弘斗もいるんだろ?


それはきっと、俺なんかへのキモチより大切に大切に仕舞ってある、

大事なお前の本当のキモチなんじゃねぇの??」



俺が言い終わると同時に村瀬は走り出して。


きっと、弘斗のもとへ向かったんだ。


どうか…あの2人がうまく行きますように。

俺はひたすら心の中で祈っていた。






< 114 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop