死神喫茶店
初めてのアルバイト
ファミレスで時間を潰したあたしたちは、『ロマン』へ移動して来ていた。


楓に教えながらのバイトになるため、いつもより30分ほど早い出勤だ。


「ねぇ、あの人たちはなに?」


楓にそう聞かれて視線を移動させると、気の早い『お客様』が数人並んでいるのが見えた。


ここからじゃその顔までは見えないからホッと胸をなで下ろす。


腐敗が始まった紫色の肌を見たら、楓は悲鳴を上げて気絶してしまうかもしれない。


「あの人たちは河田さんの『お客様』だよ」


「え? 『ロマン』のお客さんじゃないの?」


楓が目をパチクリさせてそう聞く。


あたしはう~んと呻き声を上げた。


解体屋の事をバラしていいのかどうかもわからないし、下手な嘘をつくのも心が痛い。


「とりあえず中に入ろう。河田さんももう来ているみたいだから」


そう言い、楓と一緒に『ロマン』へと入って行ったのだった。
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