死神喫茶店
人間の暖かさはどんどん失われていき、触れると冷たさを感じられるまでになった。


「それでは、こんどは背中の肉から解体していきますね」


あたしはそう言い、『お客様』の腰にのこぎりを押し当てた。


全体的に肉が付いている『お客様』でも、背中側の方が肉が薄い。


背中から解体する場合はすぐ骨にぶち当たるから、のこぎりを使うのだそうだ。


普段のこぎりを使う事なんてないけれど、 のこぎりは引くときに切れるのだと河田さんは教えてくれた。


力を使わなくても、のこぎりは使える。


それを思い出しながら、あたしはのこぎりを引いた。


一度引くだけで『お客様』の肉は細かく砕けて、あちこちに飛び散った。


後で掃除が大変そうだ。


思わずそんな事を考えてしまう。


「なんだかサッマージされてるみたいだ」


『お客様』がそんな事を言い出すので、あたしは思わず笑ってしまった。
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