死神喫茶店
「……どうやって、立ち直ったんですか?」


「無理に立ち直る必要はない。このままの自分でいい。そう思う事で、気持ちを楽にしたんだよ。好きな人を無くして簡単に立ち直れる人間なんていないから」


河田さんの言葉があたしの胸にスーッと心地よく入り込んでいく。


無理をする必要はない。


辛い事があった時は、立ち直ることができないくらいの出来事に直面した時は、立ち止まればいいんだ。


河田さんは、もしかしたらまだ立ち止まっている最中なのかもしれない。


一見歩いているように見えるけれど、心の時間はずっと止まっていて休憩しているのかもしれない。


それは誰にも見えない事だけれど、きっと本人だけわかっていればそれでいい事なんだろう。


「ありがとうございます」


あたしは小さくそう言い、また瑠衣と夢羽の事を思い浮かべたのだった。
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