りんごのほっぺ



「ていうかさ。どうゆう流れで林檎ちゃんの恥ずかしがり屋さんを治そうってなった訳?」



コーヒーにミルクを入れながら水渡さんが、チロリ、那智さんを見た。

那智さんはよくぞ聞いてくれたとばかりに、ふふん、ご機嫌に鼻を鳴らす。



「それはな俺がなランプの魔人だからだぜ!」

「へえー。お前いつからジーニーになったの?」

「今日の昼休みから就任してんだ。どうだ?羨ましいだろ?」

「いや俺はアラジンがいい」



さすがは那智さんの愉快な仲間達。スムーズに、アップテンポに会話が進んでいく。

きっと那智さんが手の施しようがないくらい馬鹿だって知ってるんだろうなー…。



「じゃあ俺は魔法の絨毯ね!びゅーんって空飛ぶの!」

「チッカはあの猿じゃない?なんだっけ?アグー?」

「アグーって沖縄の豚じゃね?たぶんあの猿はアブーだよ。ちなみに俺はクック船長に立候補しまーす」

「キュウちゃんそれピーターパンだから物語間違ってるから」

「ちょっと猿とか全然可愛くないじゃーん!やだー!チッカ魔法の絨毯がいいー!」



会話を野放しにすればディズニーキャラクターの争奪戦みたいなのが開始される。

キュウちゃんはアラジンの悪役のジャファーにぴったりだと思うけどね…おおっと、つい私も参加してしまった。恐ろしき那智軍団の力。



「で、話脱線しまくってるけど、ランプの魔人イコール麟之助が林檎ちゃんの願いを叶えるって魂胆(こんたん)でいーのね?」

「さっすが円香。話が分かる男だなあ〜」

「俺、麟之助と違ってハイスペック系男子だからね」



上品にティーカップに口を付ける。お金持ち感はんぱねえぜハイスペック水渡さん!
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